
“ふわふわ”よりも“むっちり”が好き。学生時代からベーグルを食べ歩き、試作を重ね、自分の理想の食感を追い求めてきた土橋さん。そこから生まれた『ぐるてんずカヌレ』のベーグルについて伺いました。
好きなベーグルをとことん突き詰めたい
田中:学生時代からベーグルが好きだったと伺いました。そこからお店を持つまで、どんな流れがあったのでしょうか。
土橋萌乃さん(以下・敬称略):大学生の頃、ベーグルを食べ歩くのが本当に楽しくて、各地の気になるお店に足を運んでいました。その時に『ぐるてんぐるめ』というベーグルのお店を紹介するinstagramアカウントを作ったんです。最初は完全に“食べる側”だったのですが、趣味でベーグルを作ってSNSに投稿したところ、「食べたい!」というリアクションをいただいたことがまずきっかけでした。
田中:趣味から仕事へと変わっていきましたが、すんなり受け入れられましたか?

土橋:最初に作ったときは仕事にしようとはまったく思っていませんでした。でも、周りに配ると「お店をやったら?」と言ってもらうことが増えて…正直、迷いました。好きなことを仕事にするのは怖い部分もあったので。でも、「好きなベーグルをとことん突き詰めたい」という気持ちのほうが強かったですね。それで、思い切って開業を決めました。
田中:カヌレから販売を始めたのはどのような経緯からですか?
土橋:カヌレは自分が提供したい味に辿りつけたのですが、ベーグルは理想とする食感がなかなかできなくて…。思ったよりふわっとしてしまったり、逆に固くなりすぎたり…販売に至るまでに二、三年試行錯誤を繰り返していたんです。そんな時間を過ごす中で「私はどんなベーグルが好きなんだろう」と改めて考えるようになりました。

田中:たくさん食べていたからこそ理想も高くなっていたんですね。最終的にこれは販売できるとなった決め手はどのようなことですか?
土橋:納得の食感、“むっちり感”がようやく出せた時ですね。ふわふわではなく、噛んだときに歯に返ってくる、しっかり噛んで、「食べた」という感覚が残るものが、自分が考える美味しいベーグルだったので、この食感に辿りついた時に販売を始めようと決めました。
田中:好きを極めた方が試行錯誤したベーグルなんですね。人気の秘訣がわかった気がしました。
こだわりの食感はどのように生まれた?
田中:“むっちり感”に辿りついたのは、何が決め手だったのですか?
土橋:湯種(ゆだね)製法を取り入れたことが大きいですね。粉と熱湯を先に混ぜることでグルテンの状態をコントロールできると言われています。たどり着くまでには本当にさまざまなことを試しました。加水率を変えたり、こねる回数を変えたり。混ぜすぎると食感が軽くなってしまうので「ここで止める」という判断が、意外と難しいんです。

田中:『ぐるてんずカヌレ』のラインナップは、スイーツのような雰囲気や個性を感じるのですが、お客様の反応などはいかがですか?
土橋:他にはないフィリング(中身、具材)で食べるまで「どんな味なんだろう」というワクワク感があるから、食べるのが楽しいと言ってもらえますね。

田中:はじめて『ぐるてんずカヌレ』で購入される方にはどの製品がおすすめですか?

土橋:一番人気の商品は「キャラメルパンプキンチーズケーキベーグル」(写真左)。かぼちゃ生地に自家製チーズケーキを巻き込み、キャラメルチーズケーキをトッピングしています。「キャラメルプレッツェルカヌレ」(写真右)はカヌレで人気ナンバー1です。まずはこの2つを食べていただくとお店のことを知ってもらえるかなと思っています。それと、桜餅をイメージして、もちもちした道明寺粉とあんこを使用した「道明寺ベーグル(春限定)」もおすすめです!『ぐるてんずカヌレ』の製品は主に通販で販売しているので、冷凍して温め直したときの食感まで設計しています。また、ベーグルを解凍する際は蒸し器がおすすめです。水分を含んで元の状態に戻り、作りたてと変わらない食感で楽しむことができますよ。
ベーグルとグルテンの親密な関係性
田中:グルテンに対するイメージを作り手とベーグル好きの両面から伺ってよいですか?
土橋:作り手としてはグルテンは食感に直結するものなので、自分が求めるベーグルを作るために性質などを含めて向き合っています。食べる側としては自分も体調に合わせて頻度や量などを調整しています。お客様にも「パンばかり食べると体調面に影響でませんか?」など、気にされている方はいらっしゃいますね。
田中:店名に「ぐるてん」と入れたのは、あえてですよね。
土橋:そうですね。グルテンはネガティブに語られることもありますが、パン作りにおいては食感を生み出すための核です。弾力や噛み応え、香り、すべてに関わっていますから。ただ、出せばいいわけではなくて、出しすぎれば固くなるし、狙った食感にならない。だからこそ、“どう出すか”を考える姿勢を常に大切にしています。
田中:健康面を気にしている方には、どんな提案をしますか。

土橋:量を調整したり、スープやサラダとの食べ合わせや、咀嚼回数を気にかけるとよいかなと思っています。私自身も体調に合わせて食べ方を変えていますから。
田中:最後に、土橋さんにとってベーグルってどんな存在ですか。
土橋:特別なものというより、日常の中にちゃんとあってほしいものという感じです。「今日はベーグルにしようかな」と思ったときに、気持ちよく選んでもらえる存在であったらいいなと思っています。
田中:“どうせ食べるなら、気持ちよく”という感覚ですね。
土橋:まさにそれです。我慢するための食べ物じゃなくて、ちゃんと味わって、「おいしかったな」で終われるもの。そういう時間をつくるお手伝いができたらうれしいですね。

Profile/
土橋萌乃(つちはしもえの)
学生時代からベーグルを食べ歩き、独自の“むっちり感”を追求。ベーグルとカヌレを軸に、自分が好きだと思える食感を大切にした店づくりを行う。
instaglam:ぐるてんぐるめ🥯
instaglam:ぐるてんずカヌレ(東京)&小麦研究所(京都)
田中翔大 (たなかしょうた)
株式会社エイトウィル CEO。大学卒業後、野村證券株式会社に入社。2017年、株式会社HRBrainの創業メンバーとして参画し、2020年に取締役に就任。2024年、自身の保有株式を投資ファンドへ譲渡し退任。2025年、株式会社エイトウィル創業し、「グルテン分解乳酸菌」の国内総販売元として、従来の「常識」にとらわれず、本質的な価値を提供し続けることを追求している。
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