美容外科医に聞く、グルテンと美容の本当の関係

今回のゲストは、船橋中央クリニック院長・青山セレスクリニック理事長として、20年以上にわたり美容医療の最前線に立ち続けてきた元神賢太先生。肌の不調や老化のサインは、日々の食生活や生活習慣と切り離して語れません。「美容外科医の視点から見たとき、グルテンや糖質は肌にどう関係するのか」。ニキビ治療、食事、睡眠、運動まで、美しさを内側から支える生活習慣についてお話を伺いました。

グルテンと肌荒れ・ニキビの関係、実際のところは?

田中:最近は美容への関心においても「グルテンフリー」という言葉をよく耳にするようになりました。美容外科の現場に立ち続けてこられた元神先生の肌感覚として、グルテンと肌トラブルの関係はどのように捉えていらっしゃいますか?

元神賢太先生(以下・敬称略):率直に申し上げると、グルテンそのものが美容に悪影響を与えるという直接的な研究エビデンスはまだ十分に出ていないというのが実際のところです。「グルテンを摂ると肌が荒れる」というご相談は、クリニックではそれほど多くは聞きません。

田中:美容という観点からはグルテンを意識する必要はない、ということなのでしょうか?

元神:そうは言い切れません。注目すべきはグルテン単体ではなく、小麦製品と一緒に摂られがちな「糖質の摂りすぎ」や「高血糖状態」の方なんです。ここについては、肌との関係を示す研究が一定数あります。炭水化物や甘いお菓子を大量に摂ると血糖値が急上昇しますが、それがニキビや肌の状態を悪化させる一因になることもあるんです。

田中:パンを控えて調子が良くなったと感じる人は、グルテンを抜いたからというより、結果的に糖質の総量が減ったことが肌に良い方向に働いた、という可能性もあるわけですね。

元神:その通りです。なので「グルテンフリー」を意識することで結果的に糖質の摂取量が抑えられるのであれば、それは美容にとってプラスに働く可能性が十分にあると考えています。入り口としてのグルテンフリーは、決して無意味ではありません。

「大人ニキビ」を遠ざける食習慣とは

田中:ニキビのご相談は、やはり若い方が中心ですか?

元神:そんなことはありません。40代・50代の大人ニキビでご来院される方も非常に多いんです。特に女性に多い印象ですね。当院ではニキビに対して「アグネス」という高周波でニキビの原因となる皮脂腺を直接処理していく治療を行っており、継続して受けていただくとかなり改善する方が多いです。

田中:治療と並行して、日常生活で意識したほうがよいことはありますか?

元神:一番身近で結果が目視できやすいのは、やはり食事です。具体的には、白米やパンといった精製された炭水化物を一度にたくさん摂らないこと。それから甘いお菓子ですね。砂糖はできるだけ控えたほうがよいです。

田中:甘いものが好きな方には、少し辛いアドバイスですね……。代わりに食べてよいものはありますか?

元神:糖分を摂りたいときは果物がおすすめです。同じ糖分でも食物繊維が一緒に入っているので、消化に時間がかかり、血糖値の急上昇が起きにくい。これがポイントで、血糖値を急激に上げない食べ方をすることが、肌にとっても体にとっても重要なんです。僕自身、チョコレートなどの甘い物は好物なのですが、普段はほとんど食べないようにしていますね。

田中:運動と組み合わせる、というのはどうでしょう?

元神:それは一つの手ですね。運動の直後であれば、糖分は筋肉にすぐ取り込まれるので、影響が出にくい。どうしても甘いものを食べたいときは、そのタイミングを狙うのも良い方法だと思います。

地中海食と腸内環境──美容外科医がおすすめする食事術

田中:理想的な食事をあげるならどのようなものですか?

元神:「地中海食」に近い食生活は一つ理想としてあげられると思います。ギリシャやスペインの一部の地域で、長寿の方が多いことで知られる食事スタイルですね。簡単に言うと、魚中心、オリーブオイルなど良質な油、炭水化物は控えめ。和食も非常に優れているのですが、塩分が多くなりがちという弱点があります。その塩分を控えて、良質な油を足したような食事というイメージです。

田中:肉より魚、というのは健康面でも美容面でも大きな違いがあるのでしょうか?

元神:あります。魚にはオメガ3系の良質な脂が含まれていて、これが肉の脂とは大きく違うんですね。僕も普段は魚中心にしていて、肉を食べる頻度はかなり減らしました。

田中:飲み物について意識するべきことはありますか?

元神:糖分と塩分が極力入っていないものですね。ジュースやスポーツドリンクは、糖分がかなり多いので普段飲みには向きません。スポーツドリンクは運動中や運動直後であれば役に立ちますが、デスクワーク中にちびちび飲むようなものではないと思っています。基本は水が良いのですが、味があるものは飲みたくなるので、ストレスを感じない程度に意識するのが良いと思いますよ

田中:美容のために意識的に摂ったほうがよい栄養素はありますか?「ビタミンCがいい」などは昔からよく言われますが……。

元神:僕が特に大事だと考えているのは腸内環境です。便秘の状態が続くと、それが肌に跳ね返ってきて、ニキビや吹き出物として出やすくなる。腸内環境を整えるには食物繊維が欠かせません

田中:食物繊維を多く摂るには、何が一番効率的なのでしょうか?

元神:野菜なら繊維とビタミンを同時に、しかも量を摂れる。僕自身も無農薬の産地から毎週ケールやルッコラを取り寄せて、かなりの量を日常的に食べています。「ビタミン+食物繊維」を一度に摂れるというのが、野菜の優秀なところです。

田中:お酒はどうですか?

元神:お酒自体がダメというよりも、お酒と一緒に食べるおつまみでカロリーや糖質を摂りすぎてしまうことの方が問題だと思います。もちろん飲み過ぎは悪影響になりますので、注意が必要です。単体で飲むなら、赤ワインや蒸留酒は比較的悪くないとされています。僕自身は、外食のときに嗜む程度ですね。

肌の土台をつくる「睡眠の質」──寝ている間に肌は整えられる

田中:食事の次に大事な要素として、睡眠はいかがでしょうか?

元神:睡眠は美容にとって、食事や運動と並ぶ三大要素の一つです。寝ている間に分泌される成長ホルモンが肌の修復に関わっているので、睡眠不足だと肌の回復が追いつかなくなる。「寝てない人って肌が汚いよね」というイメージは、実は医学的にも根拠があるんです。

田中:適切な睡眠時間の目安はありますか?

元神:最新の研究では、7時間程度が最も長寿に結びつくというデータが出ています。以前は8時間と言われていましたが、今は少し短めに修正されてきています。また、寝る時間帯も重要で、11時前には就寝するのが理想的とされていますね。

田中:睡眠の質を上げるコツはありますか?

元神:いくつかあります。まず、夕食はなるべく早めに済ませること。消化活動中は睡眠が浅くなりやすいので。それから入浴のタイミングですね。一度お風呂で体を温めて、その後体温が下がっていくタイミングで眠気が訪れやすくなります。入浴後30分〜1時間くらいが、最も入眠しやすいゴールデンタイムです。

田中:女性の場合、ホルモンバランスと肌の関係も気になるところです。

元神:おっしゃる通りで、睡眠不足が続くとストレスホルモンの「コルチゾール」が高まり、これが肌荒れ・乾燥・ハリの低下を進めてしまうことが分かっています。逆に、しっかり眠ることでコルチゾールは下がり、寝ている間に分泌される成長ホルモンが肌を修復してくれる。「シンデレラタイム」という言葉もあるくらいですから、睡眠は良質なスキンケアと言ってもいいくらいです。

田中:忙しくてつい睡眠を削ってしまう方には、耳の痛い話ですね。

美容医療の効果を最大化する、毎日の小さな習慣

田中:改めて肌に悪影響を与えるストレスはさまざまな方向から襲ってくるのだと考えさせられました。

元神:先ほども少し触れましたが、ストレスがかかると分泌される「コルチゾール」というホルモンは、肌のバリア機能を低下させて、乾燥や肌荒れ、ハリの低下を引き起こします。クリニックで丁寧にケアをしても、土台のところでコルチゾールが高い状態が続いていると、効果が出づらくなってしまうんです。

田中:忙しい毎日の中で、ストレスをゼロにするのは難しそうですが……。

元神:もちろんゼロにはできません。ただ、コルチゾールを下げる仕組みは、「睡眠」と「食事」の中にすでに入っているんです。質の良い睡眠を取ることでコルチゾールは下がりますし、血糖値の乱高下を抑える食事も、間接的にストレス反応を整えてくれる。だから一つひとつは特別なことではなくて、「ちゃんと寝る、糖質を摂りすぎない、腸を整える」を続けるだけで、肌の土台は確実に変わっていきます

田中:運動についても、何かおすすめはありますか?

元神:女性の方には、激しいトレーニングよりも、続けられる習慣としての運動をおすすめしたいですね。ウォーキング、ヨガ、ピラティスなど、ご自身が無理なく続けられるもので十分です。血流が良くなれば栄養や酸素が肌の細胞まで届きやすくなりますし、運動には睡眠の質を上げる効果やストレスを発散する効果もあります。「美容のために何かしなきゃ」と気負うよりも、心地よく感じられる運動を生活に組み込むのが結局は一番です。

田中:年齢を重ねても若々しく見える方は、やはり日々の積み重ねが違うのでしょうね。

元神:そうですね。美容医療でできることはたくさんありますが、治療の効果を最大限引き出すためにも、土台になる日々の食事・睡眠・ストレスケアを整えておくことが欠かせません。クリニックで施術を受けて終わりではなく、そこから先の毎日の過ごし方で仕上がりが変わってくるんですよ。

田中:最後に、改めて読者の皆さんへ。グルテンとの付き合い方について、美容外科医のお立場からメッセージをいただけますか?

元神:はい。冒頭でもお話しした通り、「グルテンが直接肌に悪い」という強いエビデンスはまだ十分にはありません。ただ、グルテンを意識することは、結果的に糖質の摂りすぎや高血糖を避けることにつながり、それは確実にニキビや肌荒れ、肌の老化を防ぐ方向に働きます。さらに、グルテンを意識する方は、自然と食事全体の質を見直すようになる。「自分の体に何を入れているか」を意識するきっかけとして、グルテンに着目することは美容にとって非常に意味のある選択だと考えています。

田中:「グルテンケア=健康のため」という枠を超えて、美容のためにも価値があるということですね。

元神:その通りです。極端にゼロを目指す必要はありませんが、自分の体の声を聴きながらグルテンや糖質と上手に付き合っていくことと、それは間違いなく、5年後、10年後の肌と体に大きな差を生みます。スキンケアやクリニックでの治療と並行して、ぜひ取り入れていただきたい習慣ですね。

田中:グルテンケアは、健康だけでなく美容のための一歩でもある。そう胸を張ってお伝えできる対談になりました。本日は本当にありがとうございました。

Profile

元神 賢太(もとがみ けんた)
船橋中央クリニック院長/青山セレスクリニック理事長。

平成11年3月、慶應義塾大学医学部卒業。慶應義塾大学病院勤務を経て、平成15年12月より船橋中央クリニック院長、平成25年1月より青山セレスクリニック理事長を務める。外科専門医(日本外科学会認定)、美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。日本美容皮膚科学会、日本抗加齢医学会、日本性感染症学会、日本医師会などに所属。エイジングケア、痩身、薄毛治療などを中心に年間多数の症例を手がけ、テレビ出演・学会発表も多数。

船橋中央クリニック/青山セレスクリニック
https://www.funa-biyou.com/

田中翔大(たなか しょうた)
株式会社エイトウィル CEO。大学卒業後、野村證券株式会社に入社。2017年、株式会社HRBrainの創業メンバーとして参画し、2020年に取締役に就任。2024年、自身の保有株式を投資ファンドへ譲渡し退任。2025年、株式会社エイトウィル創業し、「グルテン分解乳酸菌」の国内総販売元として、従来の「常識」にとらわれず、本質的な価値を提供し続けることを追求している。

Eight Will
https://eight-will.com/

タイトルとURLをコピーしました